○原料米 鳥取県大山八郷産 山田錦
○精米歩合 60%
○酵母 酵母無添加
○Alc 15.2 度
○日本酒度 +5
○酸度 1.8
○醸造年度 R4BY
〇小島杜氏よりコメント
2年目の縁起です。今季も山田60%の生酛・山廃・水もとのブレンドです。生酛は清く優しく、山廃は山陰燗酒的にヘビーに、水もとは水母的に曖昧に造っています。
この酒は縁起思想による醸造と、そのブレンドにより、全方位360℃、裏も表も香味があるようにした酒です。醸造技術もアナロジーも盛り込んだ縁起芸術による作品です。
矛盾する様々な要素を入れて1つにまとめていることで、誰かの何処かに必ずフィットする酒です。
性質的には中庸な白ラベルや上撰に近い考え方の酒で、多くを包む懐のある酒です。無窮天穏のスタンダードとして、どの方向から見ても美しい富士山のように
飲んでいただけることを望んでいます。白ラベルよりもハイクオリティかつメッセージ性のある無窮天穏のレギュラー品です。
縁や酒というと抽象的で難しいので、鍋のお出汁を想像してみてください。
齋香は昆布だし強め、天雲は鰹と昆布の合せ技、そして縁起はさらに様々なアミノ酸が溶け込んだ合わせ出汁の寄せ鍋オールスターです。
だから締めは雑炊でも、うどんでも、ラーメンでもいけます。子どもでも老人でもどれかは食べられます。それが縁起や水母でやっている縁起的醸造法と縁起ブレンドです。
出汁とは生命のアミノ酸が水に溶け込んだ液体です。水の中に多くの生命のアミノ酸が溶けていれば、その水は多くの生命の営みの記憶を伝える記憶媒体となります。
出汁からカツオも昆布も鳥も貝も野菜も全部の味を感じられれば、それは同時に魚も動物も植物も生きている世界があるということです。
日本酒も本来、自然風土、先祖、微生物、その営みを水に溶かして発酵させた(縁起させた)ものでした。私はそれらを酒から感じてもらいたいのです。
◎テイスティング
香:イソアミル(バナナ)、エステルと米麹の混ざった無窮天穏系のあの香り、弱い乳酸、バニラ
味:きれい、なめらか、水もとの乳酸、4MMP(パイナップルかマスカット)、白桃か杏仁の香り、高級アルコール(渋み)、硬質な旨味、塩味、強いが飲み方で軽くもなる
ベースきれいなんだけど、後半グッと来る。かと思ってまた飲むと今度は水もとっぽい。そして果実の香りと酸の余韻が続く。
常温では生酛、水もと、山廃がそれぞれ感じられ、燗ではこれらが一体となっていました。ベースがきれいなのでどんどん伸びるでしょう。