○原料米 島根県奥出雲産 佐香錦(全量一等)
○精米歩合 50%
○酵母 酵母無添加
○Alc 15.8 度
○日本酒度 非公表
○酸度 非公表
○1回火入れ 冷蔵瓶貯蔵
○醸造年度 R4BY
↓板倉酒造 小島杜氏コメント↓
御神酒を造るというコンセプトで造りました。佐香錦で生酛で3日麹でと醸造的にはかなり繊細で難しいことですが、フラットに粛々と造れたと思います。
4BYの齋香の味は沁みました。香り、味、水の余韻、麹の余韻。そしてその味と香りの展開が俳句的に、自分と自然の対比のように感じられて心の余韻が続いていく。
年数を重ねるごとに普通に酒を造ることが難しくなっていくことを実感していた中だったので、この齋香の出来が良かったことは大きなことです。
色々なことをやった上での抜け、引き算、忘れることはとても意味のあることだと利き酒をしたあとに強く思いました。
同時に私は自分の精神性が大きく酒に反映されるタイプの醸造家であることも実感し、環境と製造においても、見るべきものと忘れるべきものの
バランスをしっかりと考えていようと思いました。これは酒が変わったのではなく、自分が変わっただけかもしれません。
しかし現実的な味わいだけでも、良い酒になったのではないかと思います。
◎テイスティング
香り・・・吟香 4MMP バニラ 米麹の甘い香り 酸 穏やかで鎮座しているような深い香り
味・・・みずみずしい水の余韻がある。山の水、岩と砂を通ったミネラルのある硬水の余韻。それが消えてしばらく経つと、米麹の余韻が上がってとても長く存在する。
さらには渋味と酸が上がって、次の杯を要求する。開栓後は、これらの一体感が増して味わいと余韻が強く湧き上がる。開けたての閑けさ、開栓後の強さが面白い。
飲むことによって時間を造ることのできる酒。
わかりやすいものではないが、今まででにない余韻の構成になっていて興味深い。
それがどのようにしてなったのかはまだ分からないが、何かの段階が上がった齋香になったと感じる。