○原料米 奥出雲産 改良雄町
○精米歩合 60%
○酵母 無添加
○Alc 13度
○日本酒度 非公表4
○酸度 非公表
〇アミノ酸度 非公表
○火入れ 2回
○醸造年度 R4BY
↓小島杜氏コメント↓
天雲は涼しく強い酒である山陰吟醸をベースに雄町・生酛・突きハゼ三日麹で膨らみと余韻を付与し、搾った酒をタンク熟成してそれを13%まで加水することで
飲みやすいのに深い酒という矛盾を同一にした設計の酒です。一瞬の幸福よりも、長く持続する穏やかな時間が人を幸福にするというコンセプトです。
具体的には味の構成を、糖と香りからアミノ酸と余韻に移行させることで、このコンセプトを現実の酒にしています。
このあたりの詳しい酒造設計は私の醸造noteや過去の案内、天穏HPの天雲のページをご覧ください。→ https://note.com/kojima_jouzou/n/n2c1bcc852780
今季の実際のモロミでは39日〜44日の長期発酵で、溶けてきた糖を強く食い切ったモロミが多かった印象です。R3BYが余り切れなかったのでR4BYは進めました。
酒度などのわかりやすい数値はいままでとさほど変わりませんが、例年の天雲よりも低グルコース(甘さが低い)で、アミノ酸の組成も違うでしょう。長期熟成や燗酒に
向くタイプです。
どの温度も良いと言いたいところですが現段階の出荷分は若くて渋さがあるので燗酒がおすすめです。時間が足りませんでした。燗付けや開栓、瓶貯でまとまっていく
印象です。冷や冷酒はあとに出てくる熟成を経たロットが良いでしょう。仕込蔵のエアコンの能力が上がって庫内温度が下がったので例年より熟成が遅いのかもしれ
ません。
水母と天雲は独自の価値観をもった穏やかで涼しい酒だと思います。不思議と飲んでしまう、縁が広がってしまう稀有な酒です。よろしくお願いいたします。
◎テイスティング
香:イソアミル(バナナ)、ドライフルーツ、酢酸、熟香、麹の甘香 全体的な香りは強くない。
味:柔らかい、瑞々しさ、イソアミル、麹の甘旨味、雄町特有の柔らかな旨味、含み香、イソアミルアルコール(マーカー臭・紙臭)、渋み、アルデヒド(木香)、余韻、穀物の焦げた味、五平餅、複雑