○原料米 島根県奥出雲産 佐香錦(全量一等)
○精米歩合 50%
○酵母 酵母無添加
○Alc 15 度
○日本酒度 非公表
○酸度 非公表
○1回火入れ 冷蔵瓶貯蔵
○醸造年度 R3BY
↓板倉酒造 小島杜氏コメント↓
昨年は50%にリニューアルし、酒造りの出来も良く、多くの反響をいただきました。私も理想としている味わいに近づいた感覚を得ましたので、今季もこれに近づけるようにと醸造しました。
ただ2BYとまるで同じでは面白くないので、齋香用のモロミ3本のうちの1本の麹造りを蔵人の上山に担当してもらい、また違う何かを得ようとしています。この齋香は、私の酒造りを色濃
く反映している酒です。私が造って上手くいけばH2BYのような酒になるということがわかった反面、私が造らなかったらどうなるのか?というところも気になる点です。
私が長崎杜氏や坂本杜氏の酒造りを考えて造ったSAGAのように、自分で自分を造るよりも、誰かが私を思って造る物のほうが、よりその人を表現できるということもあると思います。
責任の持てる蔵人には、天穏のという銘柄の表現の一部として無窮天穏の酒も任せるようにしていきたいと考えています(上山が担当した無窮天穏も年末に出します)。
それに加え、今年の溶けの早い米質の影響で、麹のハゼ込みがかなり強く、それに伴ってモロミの経過も変わり、H2BYとはまた違った齋香になっています。
清らかな酒でありつつ、味わいが豊かな方に寄ったので、その分、清らかさがありながら分かりやすい酒になったと思います。今季の全体的な傾向です。
今期を振り返るとH3BYは、米も人も状況も世の中もかなりきつい年でした。そんな時に齋香の御神酒を造るという醸造方針は胸に突き刺さるような気づきを与えてくれます。
辛い環境の中でもこのような酒造りを行い、酒とはなにか、なぜ人は酒を作り、酒を飲むのかを本質を追求することで、私は最近、とても大きな気付きを得ることができました。
酒の正体とその酒を造る方法。オミキ、イトナミに続く、新たなキーワードを基に、H4BYは大きな飛躍が出来ると確信しています(またコラムにまとめます)。
清らかな詩を生み出すには、綺麗な水を飲める環境にいなくてはいけません。来季を見据え、安定した酒造りを保つ仕組みをしっかり構築していきたいと思います。
◎テイスティング
香り・・・無窮系の乳酸とバニラと吟香が合わさったような甘い香り、水の香り
味・・・清く、柔らかい、密度の詰まった絹のような舌触り、その中に乳酸、吟味、ミルキーキャンディ、柑橘系と洋梨のような香り、硬質な水の香り、後半にじわじわと麹の旨味。
ほんの微かに木香か薫香。絞ったときの印象より断然良くなっていた。時間の経過でどんどん良くなる。